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時間枠はヒューズ准将死後、東方から中央へ移動が決まる少し前くらいです。 優しい嘘 真夜中に鳴り響く電話の音。 こんな時、大抵はテロや災害といった仕事絡みの事が多いから、 寛いだ気分も一転、緊張な面持ちで受話器を取る。 「もしもし。」 「・・・・」 「もしもし??どちら様ですか?」 一向に返事が返ってこない。ただ聴こえるのは、忙しなく吐き出される呼吸音だけ。 そしてその音は、何処かとても苦しそうだった。 「大佐??」 「・・・・」 「マスタング大佐ですよね?どうしたのですか?こんな夜中に。 何かありましたか??」 「声が聴こえるんだ。」 「え??」 「あいつの声が。何度も何度も。慌てて振り返ってもそこには誰も居ないのに。」 「大佐・・・。」 「なあ、中尉。私は一体どうしたらいいんだ?? 頭の中では分かってる。あいつが、ヒューズはもういないってこと。 でも、心がそれに付いていかない。頼む、中尉。助けてくれ!!」 「大佐、今何処に??」 ヒューズ准将の訃報を受けてから、葬儀、東方への帰還へとあっという間に過ぎてしまった。 私でさえも気持ちの整理など出来なかったのだから、大佐にとっては尚更だろう。 唯一心を開ける親友だったのだから。 今日初めて准将の死を実感したのかもしれない。 「・・・・」 大佐はまた黙りこくってしまったが、大佐の居場所には1ケ所心当たりがあった。 「大佐。今から其処に行きますから、其処で待っていて下さい。」 それだけ伝え、受話器を急いで置くと椅子に掛けてあったたカーディガンを引っ掛けて、 鍵をかけるのも忘れて飛び出した。 目的地は走って10分もかからない所にある筈なのに、 まるで何時間も走っているように感じる。 『早くあの人に会わなければ・・・。』 「やっぱり・・・。」 予想通り、かの人はその場所に居た。 「大佐。」 お酒が入っているのか、私を見つめる彼の目は焦点が定まっておらず、とろんとしている。 飲みすぎることなどまず無い人なのだけれど・・・。 「中尉・・・?どうして此処が??」 「貴方がよくヒューズ准将と行くと仰っていた居酒屋の近くに電話ボックスがあったのを覚えていたので。」 「そうか・・・。君には本当に感謝しないといけないな。」 「別に、感謝など望んではおりませんよ。 こんな所に何時までもいたら、風邪をひかれます。 何処かの室内にでも・・・。」 電話ボックスの中で座り込んでしまっている彼の前にしゃがみ、 彼と目線を合わせて忠告する。 「中尉。」 「はい。」 「君はいなくなったりしないよな? あいつのように、私を1人にしたりはしないでくれるよな?? そんな事は断じて許さない!!ずっと、一生私だけの君でいろ!!」 私の胸倉を掴む腕にも力はあまり入ってはいないが、 黒曜石のその瞳は、闇夜にまぎれることなく光を放ち、私に向けられる。 「安心してください、大佐。私は何処にも行ったりはしませんよ。 貴方みたいなサボり屋で危なっかしい人を1人にはしておけませんから。」 私の応えに安堵したのか、腕は解かれて、 変わりに胸にポフっと顔を埋ずめると、スースーと寝息が聞こえてきた。 「こんな所で・・・。」 でも起こすのは何となく気が引けて、さらさらの彼の黒髪に何度も梳くように指を通した。 『ごめんなさい、大佐。私は貴方に嘘を付きました。 私が軍人である限り、死なない保障なんて出来るはずもないんです。 貴方もその事は一番分かってらっしゃるでしょう? それに私にとって貴方を守って死ぬことが一番の幸せなんです。 例えそうなっても、貴方は決して足を止めないで下さい。 どんな形であれ、私もヒューズ准将も貴方の一番側にいますから。』 *あとがき* ラスト戦までの中尉は、本気でこんなこと考えてたんだと思います。 でも、病室でロイに叱り飛ばされてから、 『自分が一番守りたい人は、自分の死を一番悲しみ、苦しんでくれる』 人だって気がついたんじゃないのかな?? 相変わらず、中途半端な終わり方ですみませんORZ 読んで下さり、ありがとうございました。 |