シトシトシト・・・・・


「毎日毎日、よくもまあ、飽きずに降ることだな・・・。」


東方司令部執務室で、ロイは独りごちた。
目の前には書類の山が今にも崩れてきそうなのに、
そんなものは全く目に入らないかのごとく、彼はボンヤリと窓の外を眺めていた。





   慈雨






コンコン。


「誰だね?」

「リザ・ホークアイ中尉です。」

「ああ、中尉か。入りたまえ。」

「失礼します。大佐、書類は進みましたか?」

「ううん、全然。」

「全然って大佐、ここにある書類の締め切りは殆んどが後数時間なんですよ!!
なんでノ ンビリ外なんか眺めてらっしゃるんですか!!」

「だって今日の天気は雨だぞ、中尉。今日だけじゃない。
ここ最近ずっとじゃないか。雨 の日の私はどうせ『無能』なんだろう。」

「梅雨なんですから、仕方ないでしょう!?
それにデスクワークに天気は関係ないじゃないですか。」

「そんなこと言われたって、やる気がないものはないんだ。
私を『無能』扱いした君にも責任があると思うがね。」

「はあ?まったくもう、貴方という人は・・・。」


それっきり、彼女は黙ってしまった。ちょっと困らせ過ぎてしまったかな?


「大佐は雨がお嫌いですか?」

「えっ!?ああ、まあ好きじゃないのは確かだが。
君は好きなのかね?こんなにジメジメ して気持ち悪いのに・・・。」

「ええ。好きですよ?」

「私が『無能』になるからか?」

「まあ、それもありますけど(笑)でもそれだけじゃないです。
雨が止んだ後って空気が澄んで、気持ちいいじゃないですか?
たまには虹だってでますし。それに・・・・・。」

「それに?」



「雨が降っていたら貴方を独り占めできますからね。ここで。」


ちょっと赤くなった彼女にそんなこと言われたら、
舞い上がってしまうのは仕方ないんじゃないか?


「じゃあ今日は、私は君だけのものだよ、リザ。」


大嫌いな雨も好きになれそうだ、とロイはリザを抱き締めながら思った。







 *あとがき*

読んでくださって、ありがとうございました。
すんごく短い上、超ありきたりな内容ですが(--;)
これ書いたのは結構前だったりします。
多分、第2作目くらいかな??宜しければ、感想をいただけると幸いです。