今更ながら、母の日ネタです。未来ネタ。







   Dear Mother in Future






視察途中に大佐が、


「直ぐに戻ってくるから、此処で待っていてくれ!!」


と、有無を言わさず公園で待ち惚けを喰らわせられてから、早15分。
今日は晴天だし、街の様子も変わった所はないから、
大丈夫だとは思うのだけど・・・。


「一体何してるのかしら・・・。」


無意識のうちに溜め息が出る。
溜め息を付くと幸せが逃げると言うけれど、
それなら彼の下に付いてからというもの、
私はどれだけの幸せを逃してきたのかと思うと苦笑してしまう。

公園から街の様子を眺めていると、今日は花を持った子供達が多く目に入ってくる。
彼らが持っているのは赤いカーネーション。
そう、今日は母の日なのだ。


母が亡くなってから、もう何年経つのだろうか・・・。
優しくて明るい母と、逆に少し偏屈で厳しかった父。
その真ん中にいる自分。
今となっては殆んど覚えてはいないけれど、
何故か心の中は何か暖かい物で一杯になる。

きっと幸せだったのだろう。


「どうしたんだ?ボーっとして。君らしくもない。」

「た、大佐!何時お戻りに!?それより、一体今まで何処に行ってたんですか!!」

「ん?ああ、これを君に渡したくてね。」


そう言って彼が差し出したのは、赤いカーネーションの花束。


「今日は母の日だろう?」

「貴方のお母さんになったつもりはありませんが。」

「何、代理というやつだよ。本人は、まだ当分渡せないようだしね。未来のお母さんに。」


そう言って、彼は私の腹部にそっと手を置いた。
もう片方の手でそっと抱き寄せられる。
かっと顔が熱くなるのと同時に、暖かいものが胸一杯に広がる。
それは幼い頃、両親に与えられたものによく似ていた。
彼のせいで随分幸せを逃している筈なのに・・・。

全く不思議な人だ。


『父の日には、何を贈ってあげようかしらね?未来のお父さんには。』




そんなことを考えながら目を閉じた。









母の日。

それは大切な人に感謝の気持ちを伝える日。
貴方と、そして産まれてくる新しい命に心からの感謝を。


『ありがとう』







 *あとがき*

遅くなってすみませんでした。前々から書きたかった妊娠ネタです。
大佐はカッコよく、中尉は可愛くをモットーに書いたのですが、中々・・・orz
読んでくださって、ありがとうございました。