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人魚姫……。 一目惚れした人間の王子に会うため、最も美しい声を失い、想いを伝える術を持 たず死を選んだ悲しい姫。 音なき言の葉 最後まで読み終えると、リザは静かにその本を閉じた。 王子に会いたいが為に、自分の美しい声を代価にして得た人間の足も何の意味も持たなかった。 確かに、人魚姫にとってはあまりにも辛いことだっただろう。 でも何故、死を選ぶ必要があったのだろうか。それ以外に選択肢はなかったのか? 『もし、私が……。』 「どうした?中尉。何か悩みでもあるのか?」 「えっ!?」 突然背後からかかった大佐の声。 彼の気配に全く気が付いていなかった私は、驚きのあまり、声が上擦ってしまった。 「あ。いや、すまない。驚かすつもりはなかったんだが……。」 「いえ。すみません。少し考え事をしていたので。」 「君が、私の気配に気が付かないほど物思いに更けるなんて珍しいな。」 そんなことを言いながら私に近付いてくる大佐は、目の前に置かれた人魚姫の絵本に気が付いたようだ。 「人魚姫か。」 「大佐は、ご存知なんですか?」 「ああ。大まかなあらすじならね。 確か最後は、人魚姫は自殺してしまうんだったか?」 「ええ。悲しいですよね。」 「うん、確かにな。だが人魚姫は、何故死を選ぶ必要があったんだろうな。 死なずに済む方法もきっとあったろうに。」 つい先刻まで私が考えていた事と全く同じ事を口にする彼に驚き、彼の横顔を見つめる。 「そんなに見つめるなよ。 それに王子も王子だ。 大切な女性が、何を言いたいのか全く理解出来ずに死なせてしまうとは。」 私の方を向き、尚も彼は続ける。 「私なら、分かると思うよ。 例え君が声を失ったとしても、君の想いを。 眼を見たら分かるさ。」 「なっ////// 大層な自信ですね。」 きっと今の私は赤い顔をしているに違いない。 彼は、胡散臭いまでの余裕たっぷりの笑みを浮かべて、私の耳元でそっと呟く。 「それが愛という物だ。 そうは思わないかね??中尉。」 相変わらず、あの人はずるいと思う。 そんな事を耳元で、あの優しい声で囁かれたら、反論など出来る訳もないではないか。 結局、今日もまた大佐の思い通りになってしまった。 そう思うと少し悔しい。 だけどさっきの彼の一言で、悩んでいた事が解決したのも事実。 彼の言う通り、言葉などなくても通じ合えることだってある。そう信じたい。 そう・・・。貴方とならば。 『分かってやれる、何て言われて、 本当はスゴく嬉しかったなんて、悔しいから絶対教えてやらないけれど。』 もし、私が人魚姫だったなら。 エンディングはきっと……。 *あとがき* 久々の更新です。 読んで下さってありがとうございました。 犬夜叉のドラマCDを聴きながら浮かんだネタだったりします(--;) 何だか、前作と同じような展開に・・・orz もっと精進いたします。 |